湘南アイパークの森の植物と和歌、タケノコ
湘南アイパークの森には、桜の時期が過ぎる頃、孟宗竹という日本最大の竹類の筍が、立派な姿を見せてくれます。この孟宗竹という名は、中国の故事にある、冬に母のために寒中筍を掘り採ったという、三国時代の呉の人物、孟宗に由来するのだそうです。
今回紹介する歌は、一条天皇中宮彰子(藤原道長の長女)に、紫式部や和泉式部と並び仕えた赤染衛門とその夫とのやり取りになります。
笋を幼き人に遣せて(訳:筍を幼い子に寄こして)
親のため昔の人は抜きけるを たけのこにより見るもめづらし(訳:親のために昔の人は抜いたという筍ですが 子のために抜いたのを見るのは珍しいことです)
返し(返歌)
霜をわけて抜くこそ親のためならめ こは盛りなるためとこそ聞け(訳:霜の中から筍を抜くのは親のためでしょうが これはこの子が盛んに伸びてゆくために抜くと聞いています)
孟宗の故事を引用しつつ、子どもの成長を願って筍を遣り取りした様子が、赤染衛門集に残されています。
このように平安中期に語られておりますが、幼い子や親のためにと抜かぬよう、湘南アイパークの益々の発展を願って見物するだけにしておきましょう。
分け入りて森で、すーっと背伸びして 盛りを願うたけのこの末