湘南アイパークの森の新芽に見とれながら歩いていると、偶然にも土筆がたくさん生えている場所を見つけました。春を感じますね。土筆は、古くは「つくづくし」と呼んだそうですが、古歌にはあまり登場してきません。その代わりに良く引用されるのは「源氏物語」の宇治十帖「早蕨巻(第48帖)」なのだそうです。
蕨、つくづくし、をかしき籠に入れて、「これは童べの供養じてはべる初穂なり」とてたてまつれり。
(蕨や土筆を風流な籠に入れ、その説明としては、これは童子どもが山に捜して御仏にささげたものです、初物です。)(与謝野晶子、訳)
とあります。昔は蕨と同じように土筆が春の旬として食されていたようです。
この「源氏物語」を生涯に2度にわたって現代語訳した与謝野晶子は、土筆の歌を詠んでいます。
金色の いとかすかなる ものなれど 人土筆摘む みづうみの岸
宇治の野に生えた金色の土筆を、桜の季節になれば人は千年もの間、摘みつづけてきたのでしょうか。きっと与謝野晶子もその一人だったのだと思われますね。